第14回 「なかはらみほこさんのアトリエ」 須貝 仁

秋も深まる11月23日、須藤館長他7名が訪問。アトリエはJR青梅駅より徒歩5分ほどのところにあり、一行はまず遠回りして、河原に行き、紅葉の美しさと、水のきれいさと、空気のおいしさを満喫。しばし都会の喧噪を忘れて、リフレッシュ。ここは、いつもの作家の散歩コースで、作品用の小石を拾うところだそうです。
アトリエは本通りから少し離れた静かな一軒家。かなり住みつくされた木造家屋を、階段を本棚に使われたりして、すてきにお住まいでした。同行の加藤肇司さんの「住まい全体がアートしてますね」との言葉どおり、一同も感動。大きなガラス戸越しに、太陽の光が差し込み、庭の柿も落ちたまま、そんな景色をみながら、手作りの昼食をごちそうになりました。あたたかい汁物はとてもおいしい真心の味がしました。もうここには10年お住まいだそうです。アトリエには制作中の100号から6号ぐらいまでの作品が掛けてあり、無彩色の石が使われていました。新作が楽しみです。
人生を賭けて、今の道を選ばれたこと、毎日の生活もきちんと守られていて、「サラリーマンの方とまったく変わりません。」とおっしゃる生活ぶりにプロとしての強い意志と生き方を感じ、作品が生まれる深い部分を教えていただいたような気がしました。
昼食後、青梅のレトロな商店街を散策しながら、織物工業組合跡地での『里山と在る展』に向かいました。古い織物機械が置いてある大きい部屋の天井の梁まで伸びた鉄の輪の作品は圧巻でした。最近青梅には現代作家の方達がふえているそうです。都心からちょうど良い距離で住みやすい所なのだと思います。みんなで「青梅で見た作品が、今の21世紀ニューアートの新芽だったんだ」なんて10年後あたりに語れたらいいね。と一同、希望に胸ををふくらませて夕焼けの中を帰りました。今回はとても意義深いアトリエ訪問となりました。

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