004 キャソリア国際現代美術館

イタリアのナポリから2キロほど離れたところにキヤソリアという都市がある。
その市に2007年からに2008年にかけて国際現代美術館を建設する計画があり、現在着々と準備が進んでいる。
ところでこの美術館に収蔵する作品の集め方がとてもユニークである。どのようにユニークかというと今、世界で活躍している現代美術の作家から作品を提供してもらい、それを収蔵し展示するというのである。
多くの新設美術館が高いお金をかけてピカソだ、ゴッホだと物故の有名な画家の、それも二流に近い作品を集めているのに比べるとずっと意義のある美術舘になるのではなかろうか。
さて、その作品の集め方であるが、キヤソリア市の準備委員会が、文化顧問でアートデイレクターでもあるアントニオマンフレデイさんに委嘱し、同人が広い人縁を使って世界各国のアートキュレータ1にその国の代表的な作家の紹介をお願する。依頼されたキュレーターはそれぞれの国のふさわしい作家を五与六名推薦し、ポートフオリオを添えてアントニオさんに送付する。それを受けて準備委員会が審査し受け入れを決め、その後に作品を送ってもらうという手順である。今年は28の国から100名が選ばれたが、これをとりあえず、3年続けるのだそうである。
日本についてはアントニオさんから知人であるスペイン在住の作家山口敏郎さんに相談があり、それを受けて山口さんより、私のところに日本の作家の推薦依頼があった。そこで山口敏郎、長谷川学、なかはらみほこ、利根川佳江、山本和代の5人を代表として選んだが、アントニオさんから喜んでお受けするという連結があり、すでに作品はキヤソリアに届いている。
それと平行して、彫刻家の推薦依頼もあり、川上香織さんに白羽の矢を立てた。彫刻の場合、現地に宿泊場所が確保され、そこに滞在し必要な素材を供給してもらい制作をすることが認められており、彼女は昨秋、3週間滞在し鉄の作品を作り提供してきている。
うれしいことに、本年5月下旬、今回受け入れの作品がナポリの美術館を借り披露されるのであるが、提供した世界各国の作家と、その作家を推薦したキュレーターたちがレセプションやナポリの都市見学などを含め4日間にわたり招待を受けている。滞在中の経費はキヤソリア市の負担ということである。
スペインの山口さん、現在フランス滞在中の山本さんもそれぞれご夫妻で出席であり、東京から行く他のメンバーとともに私もこのご招待を受けたいと思い、楽しみにしているところである。

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