010 マニュアル人間

最近聞いた笑い話でない本当の話。私の友人がパーティに使うため、ハンバーガー屋さんに行って50個のハンバーガーを注文したのだそうである。そうしたら、カウンターの向こうの女性が「店内でお召し上がりですか。お持ち帰りですか。」と聞いたという。
1人で50個も食べるはずがないのに、与えられた「マニュアル」に店内か、持ち帰りかを必ず聞けと書いてあるからであろう。忠実といえば忠実に違いないが、情勢の判断が出来ないのである。
同じようにレストランに入り、一、二品の品物を頼んでも店員が「ご注文の品を確認させていただきます」といって、「何々をひとつ…」と繰り返す事が多い。間違いがあってはいけないのはもちろんであるが、表面的なことではなく、状況を見きわめる力を持ち、心を通じ合わせる努力をすればつまらない質問や確認等は不要になるのである。オーナーの従業員教育もとても重要である。
話は変わるのであるが、日本では、企業メセナでアートに力を入れている会社は少なく貴重な存在である。そんな会社でやっているギャラリーでもほとんどのところで感じるのは受付の女性の姿勢についてである。絵についてまったく無関心で、単に監視役としているに過ぎず、見に行く人に対して暖かみが感じられない。絵のことがわからなくても人との関係が大事だとわかればそれなりの対応ができるのにと思うのであるが…。
企業としてせっかくいいことをしているのに、末端まで気が配られていない。これではメセナの仕事も世間体や義理でやっているのではないかと勘ぐりたくなってしまう。
私は何ごとにも心をこめて物事に対処し、人に接するということが大切だということをみんなで再確認する必要があると思うのである。

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