017 みんな絵がすき

富水のすどう美術館では面白い出会いがある。
少し年配の新聞配達のひとが勧誘にきたのであるが、入口においてある私の本を先に買ってくれて、絵を見るのが好きだという。それで読売新聞をを取るようになったのであるが、絵を見るのを楽しみにしており、配達や集金の合間に寄ってくれ、気にいると作品を買ってくれることもある。「友の会AQUAクラブ」にも入ってくれている。だから他の新聞には変えられなくなってしまった。
少し離れたところにある魚屋さんは店がとても清潔で、魚も新鮮でおいしい。美術館をやっていると話すとしばらくしてご主人が訪ねてきた。
絵に関心を持っていてゆっくり見たうえで作品を一点買ってくれた。個展をしていた作家への支援もあってかと思うが、これは作家にも私にもとてもうれしいことであった。
そして「肉のクロヤナギ」の大ちゃんこと峰尾大介さんは時間を見つけては作品を見にきてくれるが、すごい審美眼がある。もう作品も何点か買ってくれ、店に肉と一緒に飾っていてますます素敵な店になっている。
大ちゃんは私たちの美術活動について、変わった人でなければこんなことはやらないと位置づけ、いろいろな形で応援してくれているのである。
だから宣伝するわけではないが、大ちゃんが作る肉製品はどれもおいしく、それを知った人たちが美術館の帰りに店に寄っていく。
今は配達にきてくれたお米屋さん、頼んだ出前を持ってきてくれた食堂のご主人なども作品を見て帰るようになった。
また、小学校で出前美術館をやったおかげで、その学校の子どもが親をひっぱて来るケースも増えてきた。
美術館がこんな風に地元の人たちに広がっていくというのは理想的な展開ではないかと思うのである。

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