新しい年のすどう美術館

すどう美術館 館長 須藤一郎

 私がアートの作品は多くの人に見ていただくのが役割と考え、当時東京町田市にあった自宅を開放し、すどう美術館の名で集めた美術の作品を見ていただくことにしたのは1990年のことでした。
 やがて、作品を見ていただくだけではなく、講演会や講座を設けるなど深入りをしていき、また、長く勤めていたサラリーマンを1998年に卒業すると同時に、縁あって、なんと東京銀座に進出し10年、そして、今から15年ほど前にこの小田原に拠点を移しいろいろな活動を続けてきました。
 激しいポスト争いの結果、私が館長となり妻が副館長と名乗ってです。
 運営の基本方針は美術に関わり体験した私の信念、アートは人間の精神面でなくてはならない「心の糧」、やさしく言えば「心のごはん」であり、それを皆さんに伝えていくこと、もう一つ、見に来てくださる人、展示をする人その他関わる人との人間関係を大事にすること、でやってきました。
 これまで活動の幅を広げ、美術愛好者を増やすために館内で行ってきたコンサート、朗読、落語の会、収蔵作品を持って地方や近くの小学校へ行き、作品を見ていただく出前美術館実施、アーティスト支援の海外留学制度の制定、海外アートフェアへの参加などさまざまです。
 小田原へ移って来てからもアート作品の展示等の他、市の協力を得て新たに行ってきた国内外のアーティストを選び招待し、小田原に滞在して作品を作っていだいてその作品を展示する「アーティスト・イン・レジデンス」や、2011年の東日本大震災の後に「東日本げんきアートプロジェクト」の名で、岩手県大槌町で展覧会、コンサート、ワークショップなどを行う活動を続けてきました。
 残念ながら、両輪の輪で一緒に活動を支えてくれた妻が大病の後3年ほど前に亡くなったことや,コロナなどの環境の変化などを受け、今はマンションに移り、ここ数年は外部でのコレクション展の実施が中心となっています。
 中でも一昨年秋から冬にかけて2か月近く、「須藤一郎と世界一小さい美術館ものがたり」のタイトルで多摩美術大学美術館開催の大きな展覧会が行われたのはうれしいことでした。
 さて、年が明け、新しい年のすどう美術館が小田原で実現したい夢です。
 すでに私が関わって12年続いている「小田原もあ」展(小田原の寄木や木工、鋳金などの「も」の作りの作家とすどう美術館関係の「あ」-トの作家とのコラボ展)が3月、小田原市立小田原駅東口図書館で行われることが決まっていますが、さらに私はこんな夢を抱いています。
 一つは小田原の数年前まで20年近く続けていた、若いアーティスト支援の「若き画家たちからのメッセージ展」の復活、コロナが落ち着いてからになりましょうが「アーティスト・イン・レジデンス』の継続実施、そしてもう一つはすどう美術館関係の多くのアーティストの皆さんの展覧会を企画し、個展は無理ですが、展示場所を見つけグループに分けて展覧会をやっていきたいという夢です。
 私の座右の銘は「道は遥かなれども わが選びし道なれば」です。
 これからも命ある限り、夢の実現に向かって進められればと心を新たにしています。
 
 皆さまにはいつもいろいろご支援、ご協力をいただいておりますが、どうぞ本年もよろしくお願い申しあげます。
topic topic topic topic