014 ノハ(NOJA)のシンポジューム

海外では都市や企業が主催し、自国だけでなく、他の国のアーティストも招致したアートシンポジュームが各地で行われている。食事、宿泊は全て用意されており、さらに制作に必要な材料まで提供して、そこで作品の制作をさせてあげるのである。
スペインのノハ市でもそのようなイベントを毎年行なっており、これまで8年間にわたり26カ国、113人のアーティストが招待されている。
ここはいわば公開制作の形を取っており、市長も市民も自由にぶらりと見に来るという。もちろんアーティスト同士もお互いに行ったり来たり自由に交流できる。
事務局のトップとして、ノハ市のアーティストでもあるマノロ(MANOLO)さんが全体を取り仕切っており、知人の山口敏郎さん(マドリッド在住)を通じ、5年前からすどう美術館に日本人作家の推薦依頼があって、1年に1人ずつ、今まで5人の作家を推薦してきた。最初は山口さん自身が参加しており、その他は川上香織、なかはらみほこ、遠藤茂子、野口節子の4人のみなさんである。
さて、今年もマノロさんから推薦の依頼があり、すどう美術館のスタッフ(学芸員)であり、アーティストとしても活躍している高橋玉恵さんが選ばれ、先日、正式な招待状が送られてきた。
10日間余り、その前後を含めると暫く美術館の業務は手薄になるが、本人にとってまたとない機会であり、とても喜ばしいことだと思っている。
これまでの参加作家の報告によれば、作品作りのほか、毎日、時間をかけた昼食会、夕食会があり、夕食時には歌をうたったり、ダンスをしたりと各国の作家との親善の場と化すのだとのことである。そして、このシンポジュームについて、一様に楽しかったこと、強い刺激を受けたことが強調されている。
一昨年、遠藤さんと知り合ったフランスの女性アーティスト、オディール(Odile)さんが今年の夏、すどう美術館で展覧会をすることになるという、つながりも生まれてきている。
シンポジュームの最終日にはその間に作った作品の展示が行なわれ、それぞれが事務局に作品1~2点を寄贈して終わるが、その他には何のオブリゲーションもないという日本では考えられない美術支援である。
数日前に高橋さんのノハへの参加をみなさんに報告したが、それが大きな噂になり「高橋さんがスペインに行ってしまうとのことですが、すどう美術館はその後どうなるのですか」とのメールがあった。
どうやら、スペインにずっと行ってしまうと誤解したようであるが大丈夫。シンポジュームが終わればまた美術館に戻ってきて、来館のみなさんを暖かく迎えてくれるはずである。

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