038 おもてなし

 東京でのオリンピック、パラリンピックの開催が決まる前のスピーチでクリステル滝川さんが「おもてなし」の心を訴えたのが多くの人の印象に残っている。おもてなしとはやさしい心と気配りで人を迎えることであろう。最近、こんな経験をした。
 久しぶりに箱根小涌谷にある日本的な温泉旅館に行ってきた。個人的な話になるが、私たち夫婦と長男のお嫁さんの両親がともにこの春結婚50周年で、それを長男夫婦がお祝いするため、招待してくれたものである。
 もてなしは、3時チェックインの前に旅館に着くと、館内の喫茶フロアーに案内され、無料でコーヒー等をサービスしてくれることから始まった。
 当たり前といえば当たり前のことかもしれないが、旅館もその従業員もお客さん本位の姿勢で貫かれていてとてもいい感じだったのである。
 結婚記念とわかると受付で両親4人それぞれに銘木で作られた箸がプレゼントされた。
 大きな温泉に入り、出てくると休むところがあって、そこには乳酸菌飲料とアイスキャンディが置いてある。豪華な夕食ではお酒を含めワンドリンクのサービスもあった。  圧巻は夜10時30分からの「夜鳴きラーメン」の提供である。食べたいわけでもなかったが1階の食堂に様子を見に行ってみるとたくさんの人が来ていて喜んでいる。気が利いているなと思ったのはラーメンの他にコップ一杯ではあったが生ビールも出されていたことである。
 食べ物、飲み物の話になってしまったが、6人全員で気持ちよく過ごすことのできた一夜であった。
 中国、韓国からの観光客も多く、まさに日本のおもてなしを満喫したのではなかろうか。  ホテルの利用が多くなっていてわからなかったが、今時の温泉宿はこんなサービスをするところが増えているのであろうか。
 ところで、宿泊代はどのくらいだったのだろう。子どもたちの招待なので、それは聞いてない。



須藤一郎



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