新年のごあいさつ

すどう美術館 館長 須藤一郎

 2019年の新しい年、おめでとうございます。
旧年中は皆さまに多大なご支援、ご協力をいただき誠にありがとうございました。厚くお礼申しあげます。

 おかげさまで昨年も充実した美術の活動ができたと受けとめております。
 すどう美術館のコレクションの作品を使った展覧会が5月から7月にかけて千元屋ギャラリー(秦野市)、大磯アートハウス、箱根芸術空間「風伯」での3か所でコレクション展リレーとして行われました。また、9月から10月に再度、千元屋ギャラリー、そして10月は横浜馬車道の大津ギャラリー、11月は秦野市のぎゃらりー「ぜん」での3回目となるコレクション展が実現しました。それぞれ内容の異なる展示としましたが、そこの場で「人間の精神的な面で美術はなくてはならないもの」という私の考えを伝えるための講演をさせていただいたり、「風伯」では立川志らら師匠の落語会なども開催できました。
 中でも馬車道の大津ギャラリーでの展覧会はすどう美術館の作品をたいへん評価していただいているobi企画の小尾久美子代表の熱い思いを受けてのものでした。
 このほか大きな活動として、高級温泉旅館として有名な星野リゾートの新しくオープンする箱根仙石原の施設を中心に行った「アーティスト・イン・レジデンス」の実施です。
 きっかけは一昨年秋、星野リゾート側から新しい施設に美術のことを取り入れてオープンしたいのでアドバイスが欲しいとの申し出でが私のところと、大磯の「湘南アートベース(朝比奈賢代表)」にあり、提案したのがこの「アーティスト・イン・レジデンス」です。
 国内外のアーティストを招待し、その地域に滞在して作品を制作していただくこのイベントは「芸術の振興」、「アーティストの育成、支援」、「市民とアーテイストとの交流」などを目的とするもので、欧米でかなり行われています。
 日本でも少しずつ、行われるようになりましたが、私はその重要性を早くから考え、これまで小田原市他の協力と多くの企業、個人の方々の支援を受け3回の「レジデンス」を実施してきています。3回目は神奈川県からも協賛をいただくことができました。
 4回目になる今回の実施はすどう美術館と湘南アートベースが主催し、星野リゾートという企業と組んでとのことで今までとは異なる面があり、制作作品
は星野リゾートに寄贈、アーティストが宿泊した仙石原の新施設の部屋やその他の施設に展示され、事前に一般の人に見ていただく機会が持てなかったなどの課題もありました。が、「レジデンス」の意義についてはご理解いいただくことができましたし、事前の従業員研修にも関わらせていただきました。
 期間中、制作の公開、ワークショップやシンポジウム等も行いアーティストと市民との交流を図るという目的も達せられたと考えています。
神奈川県、小田原市、箱根町の後援のほか、いままでのように多くの企業、個人の皆さんにご支援がいただけましたこと、国内外12名の参加アーティストが喜んで帰られたことがとてもありがたく、そしてうれしく感じられました。
 これからも「アーティスト・イン・レジデンス」の重要性が一般に理解され、いろいろな形で広がっていくことが私の願いです。

 本年もコレクション展の開催について、多方面からお話を受けており、その実施や応援したいアーティストの方々の企画展のための具体的な検討、そしてその他いろいろな美術についての企画も考えていきたいと思います。
 また、2,020年に実現予定の多摩美術大学美術館でのコレクション展に向けての諸準備も力を入れていく所存です。
 どうぞ本年もよろしくお願いします。

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